FF14に学ぶファンマーケティングについて

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2022年10月8日現在で2,700万の登録ユーザーを抱え大成功しているFF14(Final Fantasy XIV)のプロジェクトは学びが大きいのでまとめてみました。

ファイナルファンタジー14ってどんなゲーム?

FF14は2010年発売のMMO RPGですが、発売当初はゲームを体をなしていないほどのクオリティの低さでファンの期待を裏切ることとなり、ファイナルファンタジーというブランドを毀損する事となりました。そこで体制を変更し吉田氏がプロデューサーとなることで0ベースで新生FF14を立ち上げることで前述の通り国内外屈指の成功を収めたオンラインゲームとなりました。

プロジェクトの立て直しについては下記の記事でまとめています。

FF14の成功要因には、単純に新生FF14の作り直しPJTの成功(ゲーム性の高いサービスを限られた納期で完遂すること)だけでなく、ファンに寄り添う開発のスタンスや、ユーザーへの対応/イベントなどの要素が大きいように感じました。

本記事ではFF14のユーザー(「光の戦士」を略して”ヒカセン”と呼ばれます)への対応、熱狂的なファンを生むに至った要素についてまとめました。

新生プロジェクト

開発スタンス

失った信頼回復のための立て直し

FF14はリリース時の失敗からイチからゲームを作り直すことになりました。作り直しであれば当然FF14というタイトルにこだわる必要はなく、新作ゲームとして世に出しても良いことになります。それでもわざわざ失敗作/クソゲーというハンデを背負ってまでFF14として作り直したことになります。

それは、この新生プロジェクトの最大の目標が「お客様の信頼をどうやったら取り戻せるか?」であり、これは売上よりも重要であったと語られています。

最悪の状況下でありながら、その状況から逃げずに「真剣に真摯に面白いゲームを提供する以外、僕たちにできることはない」と腹をくくり、旧版の改良と新生版の開発を進めました。

ファイナルファンタジーらしさの追求

ファイナルファンタジーは各ソフトでストーリーは独立しているものの、シリーズを通して共通している要素(メテオやアルテマといった魔法や召喚獣、チョコボやモーグリといったキャラクター)があり、ファイナルファンタジーらしさを形成していました。しかし、FF14ではそのような要素が少なく、FFらしさが弱い状況でした。

新しいストーリーやバトルシステムにも期待していますが、世代を超えて”変わらないもの”もファイナルファンタジーのファンとしては重要です。吉田氏もFFの14の立て直しにおいて”FFらしさの追求”を主要な課題の一つとして認識していました。

旧版ユーザーへの対応

新生版の開発と並行した旧版の改善プロジェクト

新生FF14のプロジェクトはゼロからの作り直しとして、難易度の高い開発プロジェクトがスタートしました。通常MMO RPGの開発期間は5年と言われている中、吉田氏のマネジメントにより2年半まで期間を短縮することとなりました。

それでも2年半もの間、旧版ユーザーを放置しておくことはできません。(ゲームの体をなしていないほどクオリティの低い)旧版で遊んでいるユーザーさんがおり、その人達を大切にしたい、と吉田氏は語っていました。

ゲームとしてはほとんど機能していないため綺麗なグラフィックを活かしてゲーム内をお散歩するだけのユーザーや、ユーザー達で自主的にイベントを開いてゲーム内に集まったり、旧版FF14を支えたのは裏切られてもいつか復活すると待ち望んでいたファイナルファンタジーのコアファンでした。

新生FF14が始まれば旧版FF14のソースコードやグラフィックは一切捨ててしまうことになり、開発メンバーのモチベーションにも厳しいものがありましたが、それでもコアファンの方たちに少しでも遊んでもらえるよう改善を進めていきました。

これは単なる美談というだけでなく、新生FF14ができあがった際にプレイしてもらえるユーザーを少しでも増やすための取り組みという側面もあったのかもしれません。旧版ユーザーをほったらかしにしてそっぽを向かれてしまっては、せっかく新生版を立ち上げてもまたゼロからユーザーを集める必要が出てきます。新生版に向けて少しでも登録ユーザー、利用ユーザーをつなぎとめる方策だったのでしょう。ユーザー数といった無機質な数字やKPIを追いかけるのではなく、「自分たちのお客さんは誰か」ということを意識して真に必要な施策を実施していたことが見て取れます。

旧版以来の古参ユーザーの紋章

旧版、そして新生FF14の成功は古参の旧版からプレイしているコアファンによって支えられてきました。そのため旧版からプレイしているユーザーに対しては背中に紋章がつけられており、ちょっとした遊び心でコアファンの自尊心や帰属心を高めることに繋がっています。

イベント

FF14ではオンライン/オフライン合わせて各種イベントを実施しています。主な特徴としてはサービスの責任者である吉田氏が毎回登壇し、いわゆる”中の人”の考え方やメッセージを伝えるだけでなく、FF14のアイコン的な存在としても機能していました。

PLL(プロデューサー・レター・ライブ)

プロデューサー兼ディレクターの吉田氏とコミュニティチームの室内氏がプロジェクトの進捗や今後の追加コンテンツなどについて紹介する生配信番組となっています。もともと、プロデューサーレターとして吉田氏がゲームの改善の取り組みの方針や進捗共有をしていたものの動画版となり、おおよそ月1回のペースで放送されていました。

吉田氏はユーザーからの要望答えつつも、できないものはできないと伝え中途半端な期待を持たせるようなことをせず非常に真摯な対応をしていました。このような対応がファンの心を取り戻し、少しずつFF14へのロイヤリティを高めていくことになりました。

このような対ユーザーへの生配信はみなさんが想像されているよりも責任ののしかかる仕事となります。私もメディア向け/記者向けへの配信を行ったことがありますが、編集ができる収録配信とは違った緊張感があります。一般的に記者含むメディアへの対応は相手もビジネスであるため、つまらないプレゼンをしてもある程度は聞いてくれますが(記者も記事書かなきゃいけない…)、対ユーザーに対しては面白さやエンタメ要素を取り入れながら聞いてもらう必要があります。

一方で攻めたコンテンツを用意すれば炎上や余計な発言をしてしまうリスクもあり、FF14の最高責任者だからこそできるコンテンツといえます。おそらくこの役回りは一般の広報担当などが担っていたら、ユーザーが知りたいギリギリのラインを攻めることができずつまらない配信になっていたと思います。

パッチノート朗読会

PLLと同じ構成で、公開済みの次期パッチノートを読み上げるだけのライブ放送。適宜補足説明が行われる。

ユーザーのフィードバックを元に膨大な量のゲームの改善が毎回行われています。WEB上でも変更点が開示されていますが、すべてを読み切るには労力がかかるため、朗読会としてユーザーに周知するイベントとなっています。

ファンフェスティバル

2年に1度日本では東京にて行われるファンフェスティバルとなっています。北米・欧州などでもで行われています。

14時間生配信

年に一度、放送時間は14時間であり、基本的に土曜日の昼12時(午後0時)から開始して26時(翌日の午前2時)まで、幕間を挟みながらも基本ぶっ通しで放送されるコンテンツとなっています。2020年はコロナの影響で開催できなかったものの、毎年の恒例行事となっています

まとめ

FF14は旧版の立て直しと新生版の開発という難易度の高いプロジェクトを達成できたことが成功要因となっていますが、それだけでファンの心を掴めたわけではありません。

ファンがサービスに何を求めているか、一度裏切ってしまったファンに対して何をすることが正解なのか、ファンを繋ぎ止めてサービスを拡大していくためになすべきことを理解して実行できた吉田氏の手腕が大きいです。

ファンマーケティングの事例としては取り上げられることはほとんどありませんが、これほどファンのことを想い、実行してきたサービスは国内外でも稀有な存在だと言え、ファンマーケティングの取り組みを行っている企業は一度ベンチマークしてみても良いかもしれません。

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