ダブルジョパディの法則とは
ダブルジョパディの法則(Double Jeopardy Law)は、顧客数とロイヤルティの関係を示す法則。jeopardy は「不利」や「リスク」を指し、市場シェアが小さいブランドが「顧客数の少なさ」「低いロイヤルティ」という二重の不利(Double Jeopardy)に直面する状況を表現している。
「浸透率と購入頻度には正の相関関係がある」という法則。
※市場を俯瞰する、サブカテゴリーを見つける目的では指数曲線で近似、予測や評価に用いる場合はNBDディリクレモデルを利用するのが良い
wi(1 – bi) ≃ w0
bi:ブランドiの浸透率
wi:ブランドiの購買頻度(ロイヤリティ,リピート率)
w0:定数
大きなブランドと小さなブランドの大きな違いは浸透率(顧客数)であり、大きなブランドは購入頻度や利用額などのロイヤルティもやや高くなる。このほか顧客離反率、クロスセリング、ブランドイメージや想起、検討などもダブルジョパディの影響を受ける。
浸透率
ある市場/セグメント内において、特定期間内に最低1回はブランドを購買・利用する顧客の割合。ダブルジョパディの法則に寄与する重要指標。
ブランドの成長とDJライン
ニッチブランドや小規模ブランドが成長する場合、DJラインに沿って成長していく。
また、満足度はシェアが増えるにつれて低下するといわれている。そのため、ロイヤリティを高めてから浸透率を上げるというのは現実的ではない。
※満足度向上が事業成長につながると考えられているが、エビデンス的にはむしろ逆。トップブランドの満足度が低くて小さなニッチブランドの方が満足度が高いこともあり得る。
ロイヤリティが増えても、浸透率が低下すればマイナス成長、逆にロイヤルティが減っても浸透率が増えていればプラス成長になる。
成長のメインドライバーは浸透率で、ロイヤルティはそれを強化する役割。
縮小過程
縮小過程にあるブランドは、顧客離反率は健全でありながら、顧客獲得率が低下していく。離反率が増えて縮小していくのではなく、顧客の離反に打ち勝つだけの顧客獲得ができずに縮小してく。
ダブルジョパディからの逸脱パターン
大半のブランドはDJラインの近辺に集まるが、すべてに当てはまるわけではない。ダブルジョパディの法則は理論から生まれる訳ではなく現実の近似であり、因果というよりも現象の記述である。そのためいくつか例外パターンも存在する。
小さなブランドが成長しないときや新規事業がうまくいかない場合、ニッチと気分転換を取り違えている場合がある。少数でも一定のニーズが継続的にある機能や特徴にコミットする必要がある。
また、サブスクリプション型のビジネスの場合当てはまらない場合もある。